2011年11月28日

いのちにも似た”家”/情緒障害児治療施設『バウム ハウス』(北海道)


 子供たちが白い箱をばら撒く・・・・予想できないユニークな形が出現します。建築家が緻密な検討を何度も繰り返したであろう、『バウム ハウス』の個室群のつながった形態もこのように見えてきます。心に重荷を抱えてしまった子供たちが、自分を取り戻すための”家”なのです。歩き回ってみて、なんと気持ちが良いことでしょうか。この家の明るさの中では心まで美しくなって、不思議な響きが生まれています。北海道の自然を体験している設計者、藤本壮介(1971~)の懐の深い人柄までも垣間見ることができた、作品でした。洞爺湖の隣、伊達市に2006年に完成しています。

2011年11月21日

円形で強い抽象性が発現/金沢21世紀美術館(石川県)

 妹島和世+西沢立衛/SANAAの設計。城下町 金沢市の中心部に出現した巨大な円盤、それが『金沢21世紀美術館』(2004)です。外部はすべて曲面ガラスで包み、円盤の上にはいくつもの四角形の白い箱を載せています。内部では4ヶ所の光庭に光が溢れて、風も吹きぬけます。全体的には、隅々まで儚げなまでに繊細な明るさで美しく仕上がっています。さらに、ここでは内外の展示とランドスケープが一体となって、訪れた人達は、”21世紀”の金沢に相応しい、前衛的な美術館体験へと導かれます。










2011年11月14日

機能が、立体的、流動的に繋がる/クンストハル美術館(オランダ)

 21世紀の建築界に、最も強い影響力を発信している建築家はこの人、レム・コールハース(1944~)でしょう。自身の著作と建築で、世界中の建築界を挑発し続けています。きっと20年後までも。さて、『クンストハル』(1992)です。ロッテルダム市中心部のミュージアム・パーク、その北端にあります。公園側からいきなり傾斜路でアプローチします。3つの展示室とオーディトリアムを、4つの斜路で巧みに連結されていて、まさしくコールハースお得意の斜行空間の出現です。ここでの空間は、機能と立体が必然性をもって動きます。

2011年11月7日

私の妻は高所恐怖症/老人のための100戸の集合住宅(オランダ)

 オランダの建築が楽しい。その中で、今回はアムステルダム西部にあってとびっきりユニークな『老人のための100戸の集合住宅』(1997)の紹介です。設計はMVRDV。若く人の意表を突く鋭い知恵と探究心、そして自信をも合わせ持った女性を含む3人の建築家集団です。この建物の目玉は、何といっても北側のファサードでしょう。当初の計画で不足した13の住戸が、片廊下の外側、空中に飛び出しています。11.3メートルものカンティレバーが大迫力で迫ってきて、老人達は安眠できるのだろうか、と心配になる程です。一転して南側の住戸群は、カラフルな色のバルコニーが板張りの外壁に張り付いていて賑やか。まるでお花畑のような趣です。このように挑戦的な作品は、いつも、見る者をとらえて離しません。
 アムステルダム・スキポール空港の近くに出現したのは、『INGグループ本社ビル』(2002)です。今にもこちらに向かって歩き出しそうなデザインには、だれもが驚かされるでしょう。いまオランダで最も環境に配慮した建物なのだそうです。