2012年6月18日

アヴァンギャルドだけではない/連邦議会新議事堂とDG銀行(ドイツ)

  N.フォスター(1935~)が『ドイツ連邦議会新議事堂』(1999)改修コンペで当選、設計に当たりました。議事堂に入るために広場から列に並ぶと、外壁のあちこちにあいた弾痕が目に飛び込んできます。前の大戦で受けた傷跡が残されているのです。中に入り、高さ23.5mの巨大なガラスドーム空間を見上げ螺旋スロープを歩くと、それは中央で逆円錐形に光るモニュメントの頂部まで延びて、少し不思議な感覚になれます。環境面では徹底的にサスティナブルな建築が達成されているようです。しかし、何をどの程度なのかなど、ここでのサスティナブル度は不明です。

 ブランデンブルグ門のすぐ隣りにあって、設計者F.O.ゲイリー(1929~)による『DG銀行』(1991)の外観は、一見ふつうのオフィイスビルの顔をしています。ところが一歩アトリウムに足を踏み入れると、会議ホールを覆うようなガラスのトップライトの下で、大きく口を開けた魚?の彫刻がこちらに顔を向け、威圧します。ゲイリーの独壇場といえる迫力です。あらためて彼の作品に共通する ”若さ" を感じ取りました。

2012年6月11日

アムステルダムっこも憧れる/KNSM島集合住宅など(オランダ)

 アムステルダム東部湾岸地区再開発(1988~)の中のKNSM島を訪ねました。マスタープランはJ.クーネン(1949~)が担当、同時に東西に細長い島の先端円形プランの集合住宅もクーネンが設計をしています。他にリーダイク、アルベールやコールホフ等による意欲的な建物が並び、このウォータースケープを質の高いものにしています。海との関係を維持しながら多様な型式の住宅棟が並ぶ環境は、この地域以外では得がたいものに思えました。

2012年6月4日

隠れ家の気分で愉しむリゾート/アマンウェラ(スリランカ)

 スリランカ南端のリゾート地タンガッラは、インド洋をいっぱいに見られる美しい海岸をもつ町。『アマンウェラ』(2005)は、この国のホテルの個性の一つである、別荘感覚での利用が想定されています。食事、サービス、設備、ランドスケープの質、とどれを取っても水準を超えた一級のホスピタリティーが提供されます。相応に値段もお高いので覚悟は必要です。聞くと日本や欧米の芸能人の、お忍びでの利用も少なくないというラグジュアリーホテルなのです。そういうことで貧乏性の私には、どうしても落ち着けません。設計は世界各地でアマンリゾーツを複数手がけるオーストラリア人のK.ヒル(1943~)です。モダンと風土の融合を尊重する建築家なのでしょう。