2012年4月16日

不思議な岩山に込められた祈り/シーギリヤロック(スリランカ)

 スピードを上げたバスが密林を抜けて現れたのは、切り立った赤褐色の巨大な岩山『シーギリヤロック』。今日は覚悟を決めて来ました。世界遺産にもなっている、この岩山を登るのです。目指すのは頂上に残る、約1500年前の宮殿跡です。頼りの足場は、殆んど垂直の岩肌に巻きついて、ところどころに錆びが目立つ華奢な鉄骨階段です。登り始めると、普段ジョギング等で少しは鍛えているつもりの我が身にもかなりキツイ!さらに目も眩みます。スリランカの地元の方々と外国人観光者、そして子供までが懸命に登る姿を見て、この岩山が人々の祈りの岩であることがわかるのです。

2012年4月9日

光り輝く島で 自然と建築の交感/ヘリタンス・カンダラマ・ホテル(スリランカ)

 3年前まで内戦があった国、現在はミステリアスな国として知られるスリランカ。やすらぎという魅力がいっぱい詰まったこの島に行き、穏やかな笑顔にあふれた人々と交感し合い、最上級と言ってもいい心のこもったホスピタリティーを享受して来ました。




 G.バワ(1919~2003)はスリランカで多くの作品を残し、唯一無二の所謂バワスタイルを確立した建築家です。
 『ヘリタンス・カンダラマ・ホテル』(1994)へはコロンボの空港から、バスで島の内陸部へ向かって約5時間、ひた走ります。バスは爆走します。保険に加入していて良かったと思えたほどの危険を何度も感じながらも、熱帯の密林と岩山という圧倒的なロケーションの中に迎えられます。全長1kmにも及ぶ建物の全容は窺うことはできません。バワは時を経て、建物が樹木に覆われて密林の中に消失する‥‥ように希ったとも聞きます。構造も単純で、内外の仕上も簡素です。白と黒に塗り分けられたコンクリートと現地産の石と木が中心です。このように自然と地形を読み取って、建物がそれらに寄り添うという形態だから、世界中からリゾート中のリゾートと評価される一方で、サンクチュアリのように気高いとも評されるのでしょう。

2012年4月2日

生き続ける伝統と産業の息吹が交錯する/倉敷美観地区(岡山県)

 はじめて倉敷の「ひやさい」(路地の意)を歩いたのは、もう四十年以上も前のことです。当時、友人に誘われて以来の再訪でした。倉敷美観地区を中心に歩いてみると、ここが江戸時代に栄えた様子が偲ばれると同時に、何か新しい変化も発見することもできます。現在はお洒落なカフェなどもあって、老身の足休めには具合が良い様子になっています。
 この街区には、建築家 浦辺鎮太郎(1903~1991)による、地域に融けあった建物が集中しているのも特徴です。例えば、『倉敷国際ホテル』(1963)、『倉敷市民会館』(1972)、『倉敷アイビースクエア』(改修1974)、『倉敷市庁舎』(1980)などがあります。浦辺ファンには、たまらない町なのでしょう。