2012年3月19日

洞窟を経て胎内へ進み、墓へ至る/李 ウファン美術館(香川県)


 アートの島直島に、安藤忠雄(1941~)が設計した『李ウファン美術館』が2010年7月に完成しています。海に面した谷間の地形を利用して、半分は地中に埋まったように見えます。道路から長い階段を下りて広場へアクセスします。広場の一番奥まった隅から、高い壁に囲まれた天井の無い洞窟のようなアプローチが始まります。館内は全体的に暗めで、硬質なコンクリートの打放しと相まって、静謐さが強調されています。内部の撮影はお約束どおり、禁止でした。
 ここは「ベネッセハウス」と「地中美術館」の中間にあり、三館は徒歩での連絡が可能です。

2012年3月12日

構成は明快、満足感は少し/東山魁夷せとうち美術館(香川県)

 眼前の巨大な瀬戸大橋もかすむ、雨天の中の訪問です。『東山魁夷せとうち美術館』(2004)は、二枚の厚い壁を海岸線に平行に立ち上げ、小さくそして低く構えた様子が、瀬戸内の美しい環境に配慮しただろうことがわかります。ラウンジからの眺望と外壁の緑色(豊田市美術館と同じスレート)の渋い表情も好ましいものに見えました。内部の動線も筋が通っています。しかし、設計者 谷口吉生(1937~)の他の作品を思い返した時、それらと比べてここではもうひとつ何か‥‥不足感が拭えないのです。同時期に「ニューヨーク近代美術館」と「広島市中工場」の現場が佳境に入っていたことは無関係なのでしょうか――というと、少し言いすぎました。

2012年3月5日

犬島に煙突が蘇った/精錬所跡と家プロジェクト(岡山県)

 岡山 宝伝港から高速船で10分。瀬戸内海の荒い波しぶきを思いっきり浴びて、お目当ての『精錬所跡』(2008)に到着です。ここ犬島の産業遺構の保存と再生に、建築家の三分一 博志(1968~)が挑んだ美術館です。銅の精錬途中でできる鉱サイで作られた煉瓦がそこにあったことが、このプロジェクトの成功を助けたのは確かでしょう。しかし同時に、三分一の軽やかなセンスに感心の連続です。彼の今後の活動からも目が離せなくなりました。


 妹島和世(1956~)による、同じく犬島の『家プロジェクト』は力が抜けているように見えて好ましく、そのすぐ隣で岩山に聳える、島の守り神 然とした『山神社』」の姿も印象的でした。