2012年7月16日

原爆以後の平和を祈る/広島世界平和記念聖堂(広島県)

 巨匠、村野藤吾(1891~1984)は、様式を捨て、歴史の中で建築の本質を見い出した建築家です。その村野による『世界平和記念聖堂』(1954)は、被爆地広島に建つカトリック教会です。鉄筋コンクリートのフレームに、原爆の灰を含む広島の土を使った煉瓦が積まれています。他に一部の小叩き仕上げなど、内外に手仕事感が漂います。完成後60年近くを経ても魅力が増しているのはこの聖堂が”本物”だからなのでしょう。

 平和記念公園のシンボル『原爆堂』(1915)です。設計はチェコ出身の建築家、ヤン・レツル(1880~1925)の手によるものです。
※ 「核」のない平和の永続を改めて祈りました。

2012年7月9日

全身、緑色に染まって/中札内美術村(北海道)


 
 芸術の村を標榜する北海道十勝地方の中札内村。帯広空港からはクルマで15分の、『中札内美術館』が主役です。十勝にゆかりのある4人の画家の美術館が広大な原生林の中に、ゆったりとした間隔をおいて配置されています。各美術館とレストランなどは、廃線になったJRの枕木が敷かれた遊歩道で結ばれていて足元も快適です。溢れるほどの緑に包まれて、のんびりと村内を巡ることができるのです。近年、程近いところに「六花の森」もオープンしたようです。坂本直行(1906~1982)の絵のなかにあるような、十勝の花々が咲く頃に再訪します。