2012年3月12日

構成は明快、満足感は少し/東山魁夷せとうち美術館(香川県)

 眼前の巨大な瀬戸大橋もかすむ、雨天の中の訪問です。『東山魁夷せとうち美術館』(2004)は、二枚の厚い壁を海岸線に平行に立ち上げ、小さくそして低く構えた様子が、瀬戸内の美しい環境に配慮しただろうことがわかります。ラウンジからの眺望と外壁の緑色(豊田市美術館と同じスレート)の渋い表情も好ましいものに見えました。内部の動線も筋が通っています。しかし、設計者 谷口吉生(1937~)の他の作品を思い返した時、それらと比べてここではもうひとつ何か‥‥不足感が拭えないのです。同時期に「ニューヨーク近代美術館」と「広島市中工場」の現場が佳境に入っていたことは無関係なのでしょうか――というと、少し言いすぎました。

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