2011年8月8日

建築と音楽が響き合う/ラ・トゥーレット修道院(フランス)

  『ラ・トゥーレット修道院』(1960)は、ル・コルビュジエ(1887~1965)晩年の作品です。木立の中、長いアプローチルートを経て、エントランスは3階に設けられ、礼拝堂は2階に、4,5階が僧房となっています。ここでの各部のデザイン表現は、暗さから明るさへの変化などでも抑制を効かせ謹厳さにあふれています。ほとんど同時進行していた、「ロンシャン教会堂」に見られる彫塑的な展開はあえて避けて、キリスト教の教えの高みへ近づこうとしているかのようです。彼は、人の心を呼び込む力を持ちました。構成の誠実な堅固さも持ちました。
 細部では北面以外に多用されている、不規則なリズムを刻む細い見付けの方立が、この建物のデザインを強く特徴づけています。

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