マドリッドから街道”銀の道”を走って300キロ余、周辺の味気のない風景に飽きた頃メリダの町に迎えられます。まるで小さなローマのような趣の町です。『古代ローマ円形闘技場』と『古代ローマ劇場』は同じ敷地にあって、見る者には都合がいいものです。2つの建造物は、いずれも紀元前1世紀に建設されています。高度な土木建設技術と削り出された石材をもって、2000年前が語りかけてきます。
「円形劇場」の向かいには『国立古代ローマ博物館』(1986)があります。設計はR.モネオ(1937~)です。近隣の遺跡群からの出土品がゆったりと展示されています。館内は、大きく幾重にも重なるアーチが吹き抜けの展示空間を支えて圧倒的。密度のある煉瓦が、壁仕上げのほとんどを占めているのも特徴です。しかし、それが多用され過ぎていて、古代の歴史から離れていってしまうような感じに陥りました。おもしろかったのは、地階の展示室です。うす暗い空間のなかに、遺跡の発掘現場が静かに眠るように保存されています。歴史好きのむきには嬉しくなる場でしょう。
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