『山邑邸』(1924)が建つ芦屋市山手は、高級住宅地の代名詞。依頼を受けたF.L.ライト(1867~1959)は現地を見て、海を見下ろす崖地をおおいに気に入り敷地に選んだといわれています。ところがライトは、愛弟子で大番頭の遠藤新(1889~1951)に実施設計を託して帰国してしまいました。しかし結果はさすが、大番頭です。敷地の形状を生かして、水平線を強調したうえでセットバックを重ねた空間を完成させました。それは「蘇ったライトがここに横たわる」というほどの出来栄えです。あらためて、遠藤新は「ライト式」の壺を心得ていて、彼の「ライト命」ぶりがこの仕事を見てよくわかります。
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