『ラ・ロッシュ邸』(1925)のあるパリ16区は、市内で屈指の高級住宅街区です。ここではル・コルビュジエ(1887~1965)が標榜していた「建築的散策路」が明快に実現されています。L字型平面の入隅部にエントランスがあります。3層吹抜けのホールには階段とブリッジが廻り、ギャラリーの曲面壁に沿っては優雅なスロープがあり、これらの自由な設えの発現に当時の人達が一様に目を奪われたことが想像できます。
※ 吹抜け通路にオブジェのように置かれた寝椅子「シェーズ・ロング」は、ラ・ロッシュ邸のためにC.ペリアン(1903~1999)女史が制作したものです。