2011年12月14日

考え抜かれた美術館の本質/キンベル美術館(アメリカ)

 テキサス州フォートワースの郊外にあって、静謐な美しさを湛えた小振りな美術館。それが遅咲きの巨匠、L.カーン(1901~1974)が、完成までを見届て実質的には遺作となった 『キンベル美術館』(1972)です。内外共に構造体はすべてコンクリート打放し、壁はトラバーチンとガラス。内部間仕切りは木製パネル。さらに、L.カーンがここで追求したのは自然光の採り入れ方です。連続するヴォールト天井頂部のスリットから、アルミ製リフレクターによって光が柔らかく室内に溢れます。3つのライトコートからの自然光も効果的です。館内すべてに人間的なスケールが保たれて、小規模のコレクションの鑑賞には理想的な空間が実現されています。隣には安藤忠雄の『フォートワース現代美術館』があります。

 フォートワース、ダウンタウン再開発の一環としてP.ジョンソン(1906~2005)が設計した都市型公園の『ウォーター・ガーデン』(1974)です。不規則な形のテラスから滝のように水が流れ落ちて、テキサスの炎天下にオアシスを生み出しています。

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