建築を旅して~写真
私が海外、国内の旅で出会い、触れて感じた数多くの建物や街並みをごらんください。
2011年4月25日
プロヴァンスの三姉妹に会いたくて-2 (フランス)
三姉妹の次女『セナンク修道院』です。建設は12世紀で、他の姉妹と同じです。山間の風景の中で、直線と優しいヴォリュームの組合わせが実に美しく、気品のある後ろ姿を見せて迎えてくれました。ここもシトー派の教会らしく、厳格な空間が与えられ、さらに装飾的なものを排除しているのは他の姉妹と共通しています。三姉妹の中では唯一、現役の修道院です。グッズなどを売るショップの賑わいが、今後少し心配になりました。
プロヴァンスでのおしまいは、三姉妹の末っこ『シルバカヌ修道院』です。
三姉妹のうちで一番訪れる人が少ないと思われるこの修道院は、平坦にも見える緩やかな傾斜地に立地しています。地形に応じていくつかの段差を設け、その結果、空間に魅力的な動きと明暗が与えられているのは「ル・トロネ」と同様です。
※三つのロマネスク建築に触れると、800年前の修道院が今も息のかかるほどの至近にあって、私達に語りかけて来ます。感謝と喜びを感じてプロヴァンスを後にしたのでした。
セナンクの近くの山岳都市『ゴルド』も、その眺望の素晴らしさに立ち去り難いものがありました。
2011年4月18日
プロヴァンスの三姉妹に会いたくて-1 (フランス)
12世紀に作られたロマネスク様式の教会のなかで、南仏 プロヴァンスの山中に隠れる様に佇む、三修道院。プロヴァンスの(シトー派)三姉妹と称されています。
最初は、そのうちの長女、『ル・トレネ修道院』との対面です。マルセイユからバスで向かう途中で気持ちがはやるのです。インドでアジャンタとエローラの石窟寺院に向かった時の気分に近かったかも知れません。フランスでは、「建築で悩んだらル・トレネに行け」と言われるそうです。清楚で彫刻的な表現と、この地方の強い光によって"粗い石”が諧調を持ち、気高い美しさのオーラが放たれていました。この日は、私にとって本当に幸せな対面が実現したのです。
2011年4月11日
水平と垂直なからくり/シュレーダー邸(オランダ)
『シュレーダー邸』(1924)は、アール・ヌーヴォーに囚われない芸術運動である「デ・スティル」を実践した代表的な住宅です。ユトレヒトに生まれた、G.T.リートフェルト(1888~1963)によるこの作品を一言で表すと、モンドリアンの絵の3次元版と言えるのでしょうか。外、内共、床、壁、天井に赤、青、黄の三原色が”パキッ”と納まっていました。内部は、細かなからくりがふんだんです。その、内部の撮影は許されませんでした。残念。2000年に世界遺産に登録されています。
2011年4月4日
トータルデザインで輝き続ける/マッキントッシュ(イギリス)
スコットランドのグラスゴー近郊で田園風景を見下ろす高級住宅街に『ヒルハウス』(1904)はありました。グラスゴー的なものと、装飾的なセンスが融合して独特の世界が実現しています。門扉から始まり、建具、家具、カーテンに至るまでC.R.マッキントッシュ(1868~1928)によってトータルデザインがなされていました。
※ ここの内部の様子は、撮影許可がもらえなかったため、見ていただけません。残念です。
マッキントッシュが最も充実していた時期の作品で、彼の代表作といわれている『グラスゴー美術大学』(1909)です。曲げられた鉄、ガラスの天井、木造の小屋組などで、繁栄したグラスゴーの当時のテクノロジー=時代性=とマッキントッシュのデザインセンスが存分に発揮されていました。
グラスゴー中心街にある『ウイロー・ティー・ルーム』(1903)は当時のヨーロッパで最もおしゃれな社交場であったようです。マッキントッシュによる、心地よい空間作りのなかで味わったアフタヌーン・ティーは格別でした。
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